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ギアカムに変更 やるなら今しかねえ

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タイトルのとおり、カムをギアカムに変更してみます。

以前から話はあったんですが今回のOHを機会にDSKさんのトコの在庫をお買い上げです。
インナーのカムギアまでセットです。D/Sステッカーもつけてもらいました。超絶ラッキーです。

箱はS&S、ステッカーはFEULING、その真相は?

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フューリングです。下から二番目594Gになります。

Feuling 594G
オーバーラップは35°in255 ex260°lift0.604 

S&Sの585CE 今まで組んでたカムですね。
オーバーラップは40°in245 ex260° lift0.585

比べたらちょっとだけ上回るスペックになりますが、正直あんまり数値の違いはありません。

でもいいんです。私がやりたかったのは 「ギアカム化」 これに尽きるんです。


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カム山に虫食いもなく、いい感じでアタリが出ております。
軸部分のアタリもよく最高です。ギアも完璧。
油圧もかけずにムダに低回転ダラダラと回してもおらず、
いいオイルを使ってちゃんとメンテされていたことは存じております。

なんせ元はペンキ屋さんのダイナに装着されてたものだそうで。
出所も組んだ人もバラした人もチェックした人も全てハッキリしております。

もしもヤフオク入手なら半分はバクチなわけで。
まずは疑ってかからなきゃですがこれは安心です。



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ケースを横にウキウキと部品を並べ、工具を準備した後しばし悦に入ります。
うむ、心なしかいつもの5割増しでアイコスがウメー。


TC88が出た当初、テンショナースプリングの力が強過ぎてシューが砕ける危険性が取り沙汰されましたね。
いわば時限爆弾付きのエンジンだということで脚光を浴びたのがギアカム化でした。
この頃エンジンいじった人はほとんどギアカムに換えたんじゃないでしょうか。

ところがTC96になったと同時にチェーンテンショナーがスプリング式から油圧式に変更。
それに伴って求められた油圧増に対応する為オイルポンプも少し強化。
適度な圧力でテンショナーを支えられるようになったおかげでテンショナー粉砕問題はほぼ解決。

TC88にもテンショナー油圧化KITがスクリーミンから安価で発売され、それ以降は油圧式が主流に。
私もその時期に今のダイナに乗り換え、スクリーミンのKITで油圧化をしました
オイルポンプまで付いて当時確か450ドル。もう飛びつきましたヨ。

しかしながら本音言うとギアカム化したかったんです。
当時だって性能的には間違いなくギアカムのがいいだろうと思ってましたからね。
じゃあなんでやらなかったのか?

正確には出来なかったんです。
金のせいにして言い訳するのは好きじゃないんですが・・・正直言って理由はコストです。


ギアカム化のメリット
なにしろテンショナーレスとなるので時限爆弾問題は完全解決
テンショナースプリングのフリクションがなくスムーズ
カムが向かい合わないのでリフトの高いカムだって組める
高回転でもタイミングが狂わない、というより狂いようがない
ギア駆動の方がメカメカしくてバイク!って感じがする(←個人的意見)

ギアカム化のデメリット
ギアの噛み合わせによってはメカノイズ発生の可能性
ピニオンシャフトの振れが7.6/100を超えていたら組めない
(数字はS&Sの場合・フューリングの場合は6.4/100以上振れてたらダメとあります)
なにしろ部品代が鬼のように高い


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ギアが4枚、カムが2本、ベアリングが4つ、ボルトが2本、他にもオイルラインを塞ぐプレートやらガスケットやらで部品代だけで軽く10万円超えます。

今回はDS在庫のカムを引き取れたこと、新品未使用のギアKITをたまたまヤフオクで入手できたこと、
そこらが決め手となって念願のギアカム化に至りました。この点ツキがあります。

ホントやりたかったんです。
板さんのTC88をギアカム化したときは勿論こりゃいい!と思いましたし。
ブライトさんのTC96をギアカム化したときですら油圧式との差を感じました。
リスクを超えた価値があると思うんです。
だってビッグツインより1000回転上まで回す4カムスポーツは当たり前にギアカムです。
悪いワケがない。

排気量は上げる、ヘッドも変わる、圧縮も変わる、キャブも変わる。
変更尽くしの今回のエンジンなので一度は従前のカムで試して違いを感じたいな、なーんて思ったりしましたが

ピニオンの振れに関して今振れてないこの時期にギアカム組まずにどうすんだと。

♪やるなら今しかねぇ やるなら今しかねぇ~  長渕剛も言ってました。

そんなわけで、今やります。


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ケース側のカムシャフトベアリングはなんだかんだ毎回交換してます。
買うとそれなりに値段するんですが(30ドル)これまたヤフオクで未使用品を入手できました。

なぜか同じ物があと3セットあります。
TC88乗りでカム交換にチャレンジする私と知り合いの方、差し上げますので取りに来てください。


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ただし、こちらのベアリングリムーバー&インストーラーSST使用に関しましては別料金になっております。
つきましては新品17インチプロダクションタイヤを前後で・・・イーヒッヒッヒ。

安めの品物無料をエサに釣って、その後高く回収するのが詐欺の伝統的な手法です。気をつけましょう。


いつだったかセカイモンで取り寄せたSST。相変わらず頼りになります。


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ベアリングは刻印見えるほうが表。

フューリングのパッケージですが中身は日本のジェイテクト(KOYO)のベアリング。
まさにグローバルですな。


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わずかですがリフトが前よりありますのでケースとの干渉を確認します。
どのカムメーカーも0.7mmクリアランスを取るようマニュアルで指示しています。

奥まで押し込むとS&Sの585でも干渉するんですが、
実際はもう少し手前にセットされますので大丈夫っちゃ大丈夫・・・だけど勉強もかねて少し削ってみるか。

今日のテーマは 「やるなら今しかねえ!」 だし。

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ガムテで養生します。

カムの軸受けに突っ込んでハンドドリルで刃物回して切削するSSTも存在しますが、
さしたる余裕があるわけでもなく、責任もない私はそのような気の効いた工具を所有しておりませぬ。

「要するにカム山の頭から1mmくれえ隙間作ればいいんだろ?」

ポスカでマーキングした部分をエアリューターでアタック開始です。

鋳物のアルミですから超硬バー使えば大した手間もなく削れます。
どっちかと言うと養生の方が大変ですね。

切削後エアブローしてガムテ剝がして確認です。


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やったったがな。
そしたらクリアランスを確認してみます。


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リアカムよし!


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フロントカムよし!

判りにくいですが前後エキゾーストのリフターボア側も少し削ってます。
リフターの擦動部ですから引っ掛かりがあっちゃいけませんので、勿論面取りもちゃんとしました。

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んでタッチアップしておきます。

これで万が一干渉した場合、ドコがいけなかったのかがハッキリするという寸法です。
カム周りに限らず、プライマリーケース等どこか削った時にはそこをタッチアップしとくと後々役に立ちます。


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乾燥を待つ間にサポートプレートにベアリングを入れましょうか。

いつもはバーナーで炙って入れてますが、今回はヒートガン&プレスを使ってみました。
(さっきまでケースにベアリング入れたりで使っていたからです。同日の作業)

「要するにベアリングを圧入するときはアウターを押してやればいいんだろ?」
この状態の圧入の場合、インナー(ベアリングの内輪)だけに圧力掛けたりすると最悪ベアリングがずっこけて使い物にならなくなります。

これまたちゃんとしたSSTも存在しますが私は適当な大きさのソケットと昔バラした純正のクランクピンを使いました。

TC88のチェーンカムだとフロントがボールベアリング、リアがニードルベアリングですが
ギアカムの場合両方ボールベアリングになります。

TC96はオイルホールありのブッシュだったかな?サポートプレートにベアリングはなかったと記憶してます。



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さらにそこにカムを圧入。

SSTもありますがこれまた持っておりません。そこらのブロック使って入れます。



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合いマークもバッチリ確認できました。

この状態で回すとですね、まるっきり無くなったフリクションを実感できます。

♪なーんてなめらかー なーんてなめらかー ※

ご存じなければ ”なんてなめらかNTN” で検索

誰もがCMソングを歌わずには居られないはずです。
もうね、ルンルン回りますよ。超気持ちいいです!

ちなみにこのボールベアリングはNTNじゃなくて不二越(NACHI)製です。


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リテーニングリングも忘れずに。

サポートプレートはフューリングの松竹梅のうち、梅にあたるOE+シリーズです。
ちなみに竹がHP+ 松はRS+という赤い奴です。

S&Sもサポートプレート出して来ましたね、青い奴。
リリーフバルブの強弱を調節できる機能があるらしいです。

スクリーミンは純正レーシングパーツを主張するオレンジ。

こうなるとどこかで緑とか黄とか出さないかなあと期待してしまいます。


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これでS&S585イージースタートカムは在庫になります。

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ついでにCRENEの304-2 MAX HOT STREETも在庫しております。

そういったわけでTC88にお乗りでカム交換を予定されている方・・・(以下省略w)


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リテーナー付けます。
ボルトが細いので穴の方に青タイト入れて締めます。

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オイル穴のブロックプレートもDSKさんからオマケでつけてもらいました。恐れ入ります!
私の使ってるサポートプレートは元々油圧コンバージョンタイプでしたのでジャストフィットです。

そういえばこうしてカム差し込んだ後にプレートを立てるのに、
ツインカムのクランクピンが丁度いい感じの高さで大変便利でした。

どうでもいいですか?どうでもいいですね。先に進みます。


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オイルポンプをTC96純正に戻すのでS&Sのリードバルブも復活させます。

本国のハーレー系掲示板では賛否両論。どっちかというと否の方が多いかな?w
でもそんなことはどーでもいいんです。
個人的には理屈の上でメリットはあっても特に不具合は無いと思われますし、ここは自分の感性を信じます。


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ギアカム化によってテンショナー分の油圧送量は必要ないわけで。
そもそも始終回してますんでフィードに関してはあまり気にしなくてもよさそうだなと。

戻しはバルブと併せて頑張ってもらうことにして、
クランク同様アツシ君のお下がりTC96純正でまずは組んでみることにしました。


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したらロイパとウルトラスリックブレンドを塗りたくって・・・


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はいドッキング。

オイルポンプの芯出しのためにぐるぐる回したら、
初期潤滑用にって少し入れてたオイルがリターンからドバドバ出てきてしまいました。

ボルトはARPの強化ボルト。見栄えも最高です。
どうせ隠れてしまうところではありますが、こういう部分にちょっといい部品使うと盆栽ダーとしてはカタルシスを味わえますヨ。

余裕があればサポートプレート周りだけじゃなく、エンジン周り外部までまるごと交換したいところですが
それやるとなると700ドルかかりますので・・・いくらなんでもそれは諦めます。


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やっとアウターギアの出番です。

随分長くなってますが、私のダイナには初めて組む部品なものですから。
記録と作業確認がてらに細かく追います。

コレは今回のOH中では数少ない新品の部品です。



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板さんの時は楽勝、でもブライトさんのやった時はえらく苦労した思い出のあるアウターカムギアの挿入。

このダイナではどうだろうと若干の緊張を保ちつつやってみましたが、結果あっさり入りました。
散々苦労したブライトさんのEGのアレは一体なんだったんだろう?

キー溝にキーを収まりよくのせ、切り欠き位置を合わせてギアを軽く差し込んでボルトで圧入。
気持ちよくハマってくれました。


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そしたらギアカムのデメリットの一つと言われるギアのメカノイズ。
これが発生するのかしないのかはギア同士の噛み合い、バックラッシュに関係があるそうです。
なもんでそのバックラッシュの値を確認しておきます。

キツ過ぎたらダメ、逆に緩過ぎてもダメ。適正な数値ってものが各社インストールマニュアルに指定されてます。
S&Sのギア使ってますのでS&Sのインストールマニュアルを参考にしました。

そもそもバックラッシュったってなんだそりゃ?ゲージで測れるの?よくわかんねえな・・・

そう思ってはいましたがやってみたら理解できるだろうと。
とりあえず指定どおりにセットしてみました。

なになに?
インナーギア(カム同士)とアウターギア(リアカム⇔ピニオンシャフト)両方とも計測する、と。
測定数字を2で割って、その数値が0.013~0.025なら良いわけね。

4箇所で測るってのはアレか、12時3時6時9時の位置それぞれで当たってみろと。
範囲外なら別売りでオーバーサイズとアンダーサイズのギアがあるからそれに換えなさいってか。

面倒だけどリョーカイ!
なんてったってアレだ。 ♪やるなら今しかねぇ~ 

まずインナーから。

・・・ベアリングがフリーだからよくわからんな。
フロントカム側を指で押えとけったってそりゃ難しいべよ。
大体今、オリャ親指がまだ痛てえんだっての。
あまりうまく計測が出来ませんでした。なんせこの時点では、バックラッシュってのがどういうものなのかがまだイマイチよくわかっていませんでした。
とりあえず問題はあんまりなさそうな感じでしたので、よくわからないままとりあえずOKとして完了。


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次にアウター側。
組む順番どおりにやれば当たり前にそうなりますねw

クランク止めとくのはワケないです。セットしてやってみました。

「これか!」

初めて判りました。バックラッシュとか小洒落た呼び方すっからよくわかんないんだ。
よーするにこりゃガタなんだ、ガタ!
どんくらいガタガタするか測れと、つまりそういうことを言いたい訳だ!わかったよ!

数字は3/100、4箇所ほぼ同じ数値。2で割って0.015 バッチリ範囲内!
オッケー!気持ちいー!

よくわからなかったことを理解できる、しかも頭だけじゃなく手を使って目で見えて身体で覚える。
いくつになってもこの瞬間っていいもんです。一人で大喜びしておりました。

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気持ちよく理解し、ギアがカムカバー側に一番近づくこの部分、ちょいと削ります。
ここも0.7mmのクリアランスを作るように指示があります。

ここはボルト逃げのために張り出してますので、調子に乗って削り過ぎると穴開けちゃうので注意です。

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お約束のタッチアップ。

下の方のリブが削ってあるのは油圧化してジッパーズのテンショナーシステムに変更した際、
ここんとこ削るように指示があったのでそうしたものです。


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乾燥を待つ間、ケースの仕上げにかかります。

これまた毎回交換するシリンダーのダウエル、位置決めのダボですね。
叩き込む前に液体ガスケットを薄ーく塗っておきます。
パーマテックスの航空機用フォームAガスケット。身体にとてつもなく悪そうな匂いがします。
ふたの裏がハケ付きになってるこういうボトルの発想って、いかにもアメリカって感じがして好きです。


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ちょっとはみ出たくらいはご愛嬌で。
どうせここOリング入りますから問題ないと思いますが、一応工業用ウエスで拭いておきました。

ケースの合わせ目からはみ出てるトヨタブラックもこのときに触れる範囲で除去します。


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ダウエルを入れ終えたらスタッドを植えます。

確かキブルホワイトの強化タイプ。あれ、スクリーミンだったかな?
どっちでもいいやw 純正より1mmほど太くなってます。
ベアリングは旧いボールベアリングをサンダーで切ってバラして取り出したものです。
これをシリンダーヘッドのボルトの中に仕込んでやって・・・


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赤タイトつけて締めこみます。

これ、スタッドボルトの上下間違えると大変なことになります(経験アリ)
純正と違って行き止まりショルダーがありませんので注意が要ります。
ヘッドのボルトがスムーズに入るほうが上です。
くれぐれもご注意を、悲惨ですよ。「経験者は語る」です。

ベアリングが入ってますのでトルク掛けて締めても緩める時はスッと簡単にヘッドボルトは緩みます。
抜く時にベアリングをケース内に落とさないように注意です。
取れないことはありませんが面倒ですから。


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はいOK!

書き忘れてましたがサポートプレート⇔ケースの2つのOリング、
オイルポンプ⇔ケースボアのOリングはちゃんとハメてあります。大丈夫です。

まだ乾ききってないのでカバーはつけてませんがこれでカム周りは終了です!



最後になりましたが、やるなら今しかねえ の曲名は 『西新宿の親父の唄』長渕剛 です。
聴きながらここまで読み飛ばしたこの長い記事をもっかい読んでみて下さいw

次はヘッド周りです。

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