久しぶりのエンジンいじりです。
TC88のノーマルエンジンは ボア3-3/4in ストローク4in の構成です。
エンジンカスタムの場合に手っとり早いのはやはりボアアップ。
ボアを3-7/8に広げれば95cu(1550cc)になります。
最近はS&Sからシリンダーも込みでボア3.927の97cuにするキットや、
ニカジルメッキシリンダーのキットで98cuってのもありますね。
現行のTC96のエンジンは ボア3-3/4in ストローク4-3/8in の構成。
TC88とボアは変えず、ストロークをアップしたエンジンです。
こちらもボアアップが費用対効果から言っても間違いのないところで。
ボ-リングで103cu、S&Sのキットで106cu、ニカジル使えば107cuです。
私のダイナには現行TC96と同じ、4-3/8ストロークのクランクが組んであります。
そこにブライトさんから借りたTC96ノーマルシリンダー&ピストンですので、
まるっきり現行車と同じ構成です。
となるとボアアップで排気量を上げていくってのが間違いのないところなんでしょうが・・・
ここはあえて、TC88ならではの構成にしたく思います。
使用するのはS&Sの4-1/2ストローカークランクです。
ボアは3-7/8で、これで排気量は106cuになります。
TC96が発売される前にはコレが最強だったんですが、クランク交換という手間の所為なのか?
あんまり普及はしなかったみたいですね・・・
ググってみましたが、WEB上では2台しか見つけられませんでしたw
まだS&Sにラインナップはしているものの、売れ線では無い構成のようです。
一般にエンジンはボア⇔ストロークをスクエア(同じ値)に近づけた方がバランスが良いとされてます。
実際S&SにはTC96用の4-1/2クランクのラインナップはありませんから。
4-3/8ストロークにしておいて、ボアを拡げて行った方が効率が良いってコトなんでしょう。
いまさら感、時代遅れ感の漂う106ストローカー・・・こういうのが私の好みなんです!
今回組むエンジンが本当に私の竜になるのか?は定かではありませんが、
どうせ時代遅れのキャブ車です。
遅れてるならとことん遅れてやろうと思います(笑)
※ちなみに「それがお前の竜になるのか?」の下り、詳しくは湾岸ミッドナイト平本編をご参照ください
じゃ、早速始めましょうか。
TC88になってからはあっさりしてましたので、今回はちょっと細かめに手順を追います。
タンクを外し、ホーンとトップリンクも外し、ケーブルも緩めてキャブも外します。
インマニを外す際にはこの工具、「インテークマニホールドレンチ」が便利です。
微妙な角度がついてて、片側はボールポイントになってるんで締めるも緩めるも楽なんです。
そんな高いもんじゃないんであると便利ですよ。
外したらインマニシールの状態や接地面の状態を確認しておきます。
キレイなら良いんですが、吹き抜けがあったり、シールがやたらと損傷してたら
なんかおかしいと思わないとダメです。
よく言う「二次エア」の大部分はこの部分から外気を吸ってしまってることが多いですから。
取付が悪いのか?部品が悪いのか?判断は各々の力量にかかってきます。
お互い精進しましょう!
そしたらロッカーカバー外します。前後各6本のボルトを外すだけです。
マニュアルには順番も指定されてますよ。
他車種は知りませんが、ダイナはリアのB面一番後。
この位置はフレームが邪魔して工具が入りづらいです。
いつもレンチでエッサエッサ外してます。
ソケットが入らないと言う事はこれは当然、締める時も困っちゃうわけで。
なぜなら普通にソケット付けたトルクレンチが使えないわけですから。
こういう場所の為に『トルクアダプター』と言う工具があります。
まあ・・・オレは持ってませんけどねw
昔、EVOの頃はこのロッカーカバー外すのがまず最初の難関でした。
3段重ねでなんか知恵の輪みたいになっちゃってw
ツインカムをイジって、最初に感動したのはこの部分 「ロッカーカバーが簡単に外せる!」
斜めにカットを入れてあるんでずらすだけです。
オイル噴いた板さんのナイトレのブリーザーアッセンブリーを増し締めをする為でした。
当時はたったこれだけの作業にも関わらず、えらくブライトさんは感動してくれました。
今はこの程度、なんとも思わなくなってるでしょうね(笑)
はい、ここらからマニュアルとはちょっと手順が違ってるかもしれません。
正しいのはサービスマニュアルの方です!
勘違いしないでください、これはあくまでも私の手順です。
余所行って「やりかたが違う」とか「ネットではこうやってた」とか、訳の分かんないこと言っちゃダメですヨ。
恥かきますヨ。完全にこっからは『オレ流』ですから。
右側のロッカーアームが少し上がってるの判ります?
この状態でボルト緩めちゃダメです。下から押されてるんで下手したらサポートが歪みます。
左と同じ様に下がってなきゃマズイんです。
プラグ抜いてギア入れてタイヤ回してロッカーアームを下げてやんなきゃいけません。
そしたらどうやって下がったことを確認するか?
それにはプッシュロッドカバーを外すことから始めないとです。
こうやって切り欠きにマイナス引っ掛けて手前にクルッと押し下げながら回すと外れます。
んでプッシュロッドを触ってみて。
クルクル回ればロッカーアームにテンションは掛かってないことになります。
とても指では回らない位なら、まだロッカーアームにテンションが掛かってると言う事になります。
前後両方のプッシュロッドがクルクル回るトコまでタイヤを回したら、
ロッカーアームASSYのボルトを緩めてもOKです。
全部で6本のボルト、緩める順番はマニュアルに指示があります。
そしてこの部分、またB面リア側はフレームが干渉するんで普通にソケットは入りません。
配線をズラすなりして、エクステンション使わないとですね。
フロント側は何の苦労も無く外せます。
ロッカーアームASSYを外したところでプッシュロッドを抜きます。
私のプッシュロッドは調整式なので、プッシュロッド縮めて抜くってのもアリなんですが・・・
ピッチが細かくてダルいんで、腰上バラシの際にはいつもこうしてます。
外したら ロッカーアーム⇔プッシュロッドのアタリ ロッカーアーム⇔バルブのアタリ
これらをそれぞれ確認します。
どうなってたらマズイとか、どうなってたらOKだとか・・・そんなこと聞かれても困りますヨ(笑)
自分で判断するなり、マニュアルに従って計測して数字で確かめるなり、人それぞれです。
ちょっとした事からトラブルのキッカケを見つけて未然に防いでくれたり、部品の良否を判断しているわけで。
プロにとってはその判断こそがメシの種。ノウハウって奴です。
私らシロートの場合はなんせ自分のエンジン触った経験しかないもんですから。
毎回やるたんびにわかんないながらもよーく見て、覚えておくしかないです。
それを何回も繰り返して行けば・・・いずれ何かを掴めるかもしれません。
今回私の判断ではここはOK!プッシュロッド調整は上手いこといってたようだ、という結論でした。
部品にはそれぞれアタリってモノがありますから、全部とっかえるならまだしも再利用する場合には
バラした部品はすべからく元の位置に戻すのが基本です。
メモするとか順番に並べておくとか、工夫したのが良いと思います。
純正のプッシュロッドなら色分けされていて判り易いですが、
ロッカーとロッカーアームASSYは前後全く一緒ですから。
ちゃんとマジックで書いとくなり刻印なりしたのがいいです。
ちょっとした手間ですが、ここらに気を使えるかどうかが全体にかかわりますから。
「絶対に元の位置に戻さなきゃダメ!」って訳じゃ無いんです。心構えの問題です。
キッチリと組める人はその前に、やっぱりキッチリとバラして、キッチリと点検してますよ。
ただ順番にネジ外してけばいいだけなら、こんなのウチの小学生の娘にだって出来ます。
今まで組むたびにエンジンぶっ壊して私もようやく学んだんです・・・
いい加減に分けとけばいい加減にしか組めないです。そういうもんです。
なんか文章が説教クセエのは歳のせいでしょう(笑) 先進みます!
ロアロッカーカバーを外したらヘッドのボルトにアクセスできます。
今までOH歴のないエンジンだとこのボルト、メチャメチャ固いですよ。
もしか長めのブレーカーバーとかあったのが良いかもです。
10年乗った板さんのナイトレをバラしたときがそうでした。わざわざブレーカーバーを買いに行きましたもん。
ここも歪みを生じさせない為の外す順番ってモノがあります。マニュアル見ましょう。
はい、燃焼室です。
ちょっと前にバラしたばっかなんで結構キレイです。
こないだ組んでからはHLSTにサーキットにと、エンジン回してばっかでしたのでカーボンはほとんどなし。
街乗りでダラダラ乗ってるとカーボンが溜まるぞ、とか良く聞きますが・・・それは本当です。
たまにはブン回してそんなカスは吹き飛ばしてやりましょう!
ピストンはご覧の通り。
右上の○は着火点で焼けた跡ですね。
ピストンの外周がなんか湿ってるのは・・・掻き落とせなかったオイルかな?
このまま組むんだったら一応ピストンリングは換えておきたいところです。
前回組み付け時にはMLSガスケットが入手できず、このファイヤリングガスケットを使用したんです。
ツーリングでもそこそこ頑張り、日光サーキットでは何度もレブらせ、
ビューエルミーティングでもブン回し、筑波サーキットでは・・・アレは雨だったからそうでも無いかな?
でも6000回転なんか当たり前に何度も当ててましたが、見事に吹き抜けも無く耐えてくれました。
GJです。
ちなみにプラグはこんな感じです。
本来なら高回転で回したトコで点火カットして焼けを見るのが正しいそうですから、
工場まで普通に乗ってきて外したこの焼けが本来のモノなのかどうかはよく判りません。
そもそも私はプラグの色がどうこうとかはそれほど気にしないんです。
別にプラグのガイシをキツネ色にする為に走ってるわけでは無く、気持ちよく回るかどうかが大事なんであって。
まあ、ハッキリ言ってどーでもいいんです(笑)
調子がイマイチかな?ってときに初めてプラグの焼け具合を見るくらいでして・・・
どうだったらOKとかの基準はわかりません!
でも今回終始いい感じでエンジンは回ってたんで、この位の焼けが良いトコだ、と思う事にします。
ボンヤリとした縦線が数本、クロスハッチはちゃんと残ってました。
ピストンのコーティングにも跡があります。
TC96の純正とはいえ、そこそこのロングストロークですからこの程度はアタるでしょう。
セカンドリングの上でオイル焼けは止まってますので張力もまだあるみたいです。
ピストン裏もキレイなもんです。クーリングジェットの効果もあるんでしょうか。
このまま使うなら再度スカート部にオーベルコートでもしとけば安心ですね。
とにかくEVOに比べて随分余力のあるエンジンだなあと、ピストン見るたびに思います。
そーいえば外したこのTC96の純正ピストンとピストンピンとサークリップ。
ふと思い立って前後の重量比べてみたんです。
そしたらスゴイですよ。なんと0.1g差で揃ってました。
『ハーレーの品質は信用できない』
少なくともピストンに関してはそんなのはもう昔の話の様ですね~
続いてカム廻りやります。
EVOまではカムの軸受けも兼ねてる重要部品ですが、ツインカムのカムカバーはホントにカバーです。
だからこそRSDの一部透明のカムカバーとかが商品として流通してるわけで。
初期型の点火のピックアップが納まってるモノ以降(01年式以降)はこの部分は好きに出来ます。
エンジンの雰囲気を変えたい場合、お手軽に交換できるという意味で面白い部分だと思います。
でもオイルが入っていることに変わりは無いワケで。
外すにも付けるにも、ボルトを締める順番ってモノはあります。マニュアル見ましょう!
TC88の泣き所と言われる、スプリング式のチェーンテンショナーですが、
昔に記事にした通り、この部分は油圧化してます。
ギア式の方がよりフリクションが少なく、性能的にはいいと思いますが
クランクの振れに対して若干の許容があること、
スクリーミンのキットなら強化オイルポンプも付属してくること、が決め手で油圧化を選択しました。
そして油圧ユニットはジッパーズのデュアルに換えてあります。
SSTでギアを保持してリアカムドライブギアを外し、クランク側のギアを外し、
マニュアル指示どおりにボルトを緩めてサポートプレートごと引き抜きます。
そこそこプレートの中にもオイルが入ってますので床に養生しといたほうが賢明です。
オイルポンプはそのまま引き抜きます。
奥にOリングが入ってますので忘れないようにしないとです。
カムカバーまで外しましたから、部品を洗浄液に漬け置きしておきます。
今回初めて使ったモノタロウのパーツ洗浄液です。
いつもはアストロで売ってるサンエスのを使ってるんですが、これもなかなか使えました。
やたら油が浮くので「ちゃんと分解してるのか?」と少し不安になりましたが・・・
燃焼室の焼けたカーボンも結構落ちてます!
磨いてあったことも幸いしたみたいですね。
プレートの塗装まで剥がれてしまったのは計算外でしたが・・・(笑)
なかなかの洗浄力でした。また使おうと思います。
さて、腰上はこんなもんで。
次はプライマリー周りに続きます。
あ、最後に。
フェイスブックの方ですが、アカウントを削除しました。
登録して頂いた方にはお知らせもしないで申し訳ありません!
ちょっと諸事情ありまして・・・
よくある話だと思うんですが、見つけられたくない人達に見つかってしまってですね・・・
むかーしモメた筋なもんで急遽でした。
登録されていた方で私の連絡先を知らないままじゃねえか!と言う方は、
ブログの内緒コメントを利用して連絡頂ければ、すぐに折り返しDMで返信します。
別にSNS疲れとかそう言うのじゃないんです。
ほんの一時期ですが素行の良くなかった私がいけないんです。
お手数をおかけしますがよろしくお願いします! <(_ _)>